クレーム対応が苦手‥‥という営業マンの方は多いのではないでしょうか。
とはいえ、営業活動をしていく上でクレームは避けて通ることができないものです。しかし、クレーム対応のスキルを身につけることで、逆に信頼関係を築き、次のビジネスチャンスにつなげることが可能となります。
クレーム対応は、営業マンの真価を問われる場面であり、その対応次第ではお客様との関係が良好なものに変わることもあります。まさに、ピンチはチャンスです。
そこで本記事では、クレーム対応に苦手意識を持つ営業マンのために、効果的なコツと話し方のポイントをわかりやすく解説します。
クレーム対応の基本と心構え
クレーム対応の場面では、まず基本を押さえ、心構えをしっかり持つことが大切です。
クレーム対応の重要性や心がけるべきポイントを理解し、感情に流されずに対応するためのコツを身につけましょう。ここでは、クレーム対応の基本的な考え方と、営業マンが心がけるべき姿勢を紹介します。
クレーム対応の重要性とは
営業マンにとって、クレーム対応は避けたいものですが、実際にはその対応が次のビジネスチャンスにつながる重要な要素です。
お客様がクレームを伝えてくるのは、少なくともその企業や営業マンに期待をしている証拠です。期待もしていない営業マンには、クレームを言う気にもならずただお客様が離れていく、と言うのは逆の立場であれば心当たりもあるのではないでしょうか。
つまりクレームに真摯に向き合い、適切に対処することは、お客様との信頼関係をさらに強固なものにするチャンスなのです!
当然クレーム対応は時間と労力を必要としますが、「お客様からの信頼を勝ち取る絶好の機会」と捉えられる営業マンほど成長することできるでしょう。
クレーム対応でまず心がけるべきこと
クレーム対応は一見、お客様の不満に納得いく改善策や提案をするだけに見えるかも知れませんが、その過程には適切な順番が存在します。
クレーム対応の最初のステップは傾聴です。お客様が何を不満に思っているのか、どのような状況に置かれているのかを理解するために、相手の話を遮らずに最後まで聞くことが求められます。
また、相手の感情に寄り添い、共感を示すことも大切です。「おっしゃることはよく分かります」「ご不便をおかけして申し訳ございません」というように、相手の気持ちを受け入れる姿勢を示しましょう。
お客様の不満を全て聞き出すことが、クレーム対応成功の鍵ろ言えます。
感情的にならないためのセルフコントロール術
クレーム対応では感情をコントロールする力が問われます。
クレームの中には、時にはこちら側に非のない理不尽な内容も存在します。しかし、そこで感情的になることは、お互いにメリットがあるとは言えません。
お客様の怒りや不満に対して冷静に対応するためには、深呼吸をしたり、一瞬だけ間を置いてから返答するなど、自分自身の感情を落ち着けるテクニックを活用しましょう。
さらに、「感情の引き金」を理解することも重要です。自分が特に反応しやすい言葉や態度に気づき、対応策を準備しておくことで、冷静さを保つことができます。
クレーム対応が上手くなる聞き方・話し方のコツ
クレーム対応が苦手な営業マンでも、話し方のポイントを押さえるだけでスムーズな対応が可能になります。
ここでは、クレーム対応時に心がけるべき具体的な話し方のコツを紹介します。相手に寄り添いながらも自分の立場をしっかり伝えるテクニックを学びましょう。
傾聴のテクニックと相手に寄り添う言葉の使い方
傾聴とは、ただ話を聞くだけでなく、相手の気持ちや意図を汲み取ることです。クレーム対応においては、相手の不満をしっかりと受け止め、「あなたの気持ちは理解しています」という姿勢を示すことが信頼を得る第一歩です。
例えば、「なるほど、そうだったのですね」「お話を伺って、大変な思いをされていることが分かりました」など、相手の気持ちに共感する表現を使いましょう。
傾聴のポイントは、相手の言葉をそのまま受け入れ、否定せずに「うなずき」や「合いの手」を入れながら聞くことです。「うんうん、そうですね」と共感の姿勢を示すことで、相手は話しやすくなります。また、適切なアイコンタクトを取ることで、相手に対して「あなたの話を真剣に聞いています」というメッセージを伝えることができます。お客様の感情を理解することが、最適な対応の一歩です。
クレームを肯定的に受け止める表現方法
クレーム対応では、相手の意見や感情を否定せずに受け入れる姿勢が重要です。
お客様の主張が理不尽に感じられる場合でも、「それは違います」と即座に反論するのではなく、「そのように感じられるのはごもっともです」といった肯定的な表現を使うことが求められます。この姿勢は、相手の怒りを和らげ、冷静な話し合いへと導く効果があります。
例えば、「確かにその点はご不便をおかけしましたね」「おっしゃるとおりです、改善が必要だと感じました」といった言葉を使うことで、相手の意見を受け入れつつ、前向きな解決策を一緒に考えられる空気感を作り出します。
また、「もし私がその立場だったら、同じように感じると思います」と共感を示すことで、相手の感情に寄り添い、信頼感を高めます。
営業マンが使うべき「謝罪」+「解決策」の伝え方
クレーム対応において、謝罪は欠かせない要素ですが、単に「申し訳ございません」と言うだけでは不十分です。
謝罪の後には、具体的な解決策を提示することで、信頼を取り戻すことができます。「お手数をおかけして申し訳ございません。すぐに〇〇の対策を取らせていただきます」といった形で、具体的な行動を示すことで、相手に安心感を与えることができます。
また、謝罪と解決策の伝え方にはタイミングが重要です。まずは相手の話を最後まで聞いた上で、落ち着いたトーンで謝罪し、その後に解決策を提案します。「すぐに〇〇を確認し、改善策を考えさせていただきます」「二度と同じことが起こらないよう、早急に対策を実施します」など、行動につながる言葉を使い、相手が納得できる解決策を提示することが大切です。
クレームを繰り返すリフレーズの技術
リフレーズとは、相手の言葉を自分の言葉で言い換えて繰り返すことで、相手が何を言いたいのかを正確に把握し、双方の理解を深める技術です。「つまり、〇〇ということですね」「お話を整理すると、〇〇が問題だったとお考えなのですね」という形でリフレーズすることで、相手は「自分の話が伝わっている」と感じ、安心感を持ちます。
リフレーズには、相手の言葉の要点を捉え、過度に脚色せずに言い換えることが重要です。また、「なるほど、そういうことでしたか」と前置きしてからリフレーズを行うと、相手はさらに「理解されている」と感じやすくなります。この技術は、相手の不安を和らげ、円滑なコミュニケーションをサポートします。
声のトーンとスピードの使い方
声のトーンや話すスピードは、クレーム対応において相手に与える印象を大きく左右します。低く落ち着いたトーンでゆっくりと話すことは、冷静さや誠実さを伝えるのに効果的です。早口や高いトーンで話すと、焦りや苛立ちを相手に感じさせる可能性があるため、特に注意が必要です。
言葉一つひとつをしっかりと発音し、間を適度に取ることで、相手に安心感を与えることができます。適切な間を挟むことで、相手が内容を考える時間が生まれ、対話がスムーズに進みます。
また、感情を込めすぎず、淡々と話すことで、プロフェッショナルな印象を与えられます。
相手の立場を理解した言葉の選び方
クレーム対応では、相手の立場に立った言葉遣いが大切です。「それは大変でしたね」「そのような思いをさせてしまい、申し訳ありません」など、相手の感情に共感するフレーズを使うことで、相手の心を和らげることができます。相手が感じているストレスや不満を理解し、それを言葉にして伝えることが、信頼を築くための第一歩です。
また、「お客様のご意見を真摯に受け止め、今後の参考にさせていただきます」という言葉は、お客様の意見を大切にしていることを伝え、信頼感を高めます。
さらに、相手の状況に応じた対応を心がけることで、顧客満足度を向上させることができます。相手の気持ちを尊重した対応は、クレーム対応の成功につながります。
クレーム対応でやってはいけないこと
クレーム対応では、正しい対応だけでなく、やってはいけないことにも注意が必要です。
ここでは、クレーム対応時に陥りがちなミスや避けるべき行動について詳しく解説します。間違った対応を避け、信頼を損なわないためのポイントを押さえましょう。
避けるべきフレーズとその理由
- それはできません
- 規則ですので
- 私にはどうしようもありません
これらの言葉は相手に冷たい印象を与え、怒りや不満を増幅させる原因となります。
代わりに、「他の方法を考えてみます」「確認させていただきます」といった、相手の立場を理解しようとする姿勢を示す言葉を使うよう心がけましょう。
言い訳や責任転嫁の落とし穴
クレーム対応で避けたいのが、言い訳や責任転嫁です。
「その問題は他の部署の責任です」「私には関係ありません」という対応は、営業マンとしての信用を失いかねません。
実際にあなたが直接関係していなかったとしても、お客様から見ればあなたはその会社の代表です。責任の所在に関わらず、まずは自分が責任を持って対応する姿勢を見せることが大切です。
クレームを無視する危険性
クレームを無視したり軽視する行為は営業マン失格と言っても過言ではありません。
また、無視や軽視した対応は、より大きなトラブルに発展する可能性があります。場合によっては、あなたとお客様だけのトラブルではなく、会社とお客様、あるいは社内のトラブルにも繋がる可能性があります。
問題を見過ごすことなく、迅速かつ丁寧に対応することが、クレーム処理の基本です。
「面倒ごとは後回しにしたい」という気持ちを、グッと抑え迅速に対応することが、今後のあなたの営業マンとしての質を高めてくれます。
一方的な言い分を押し付けない方法
クレーム対応において、一方的な言い分を押し付けることは絶対に避けるべきです。
あなた(の会社)の主張を通そうとするのではなく、相手の話を理解しながらバランスを保つことが重要です。「おっしゃる通りです。ただ、このような見方もできます」という形で、相手の意見を尊重しつつ自分の意見を伝えるよう心がけましょう。
お互いの落とし所を見極めて、折衷案を提案できるようになるのもまた、営業マンとしてのスキルと言えます。
途中で話を遮らないことの重要性
相手の話を途中で遮ると、相手は「聞いてもらえていない」と感じ、ますます不満が募ります。
最後まで話を聞いた上で対応することで、相手の感情を落ち着かせることができます。相手の言いたいことをすべて聞き終える姿勢を示すことが、クレーム対応の基本です。
また、お客様の意見を聞き逃さないためや、今後の対応策を提案するためにも、適度にメモをとるのが有効です。メモを取ることで、お客様も話を聞いてくれていると安心することができます。
しかし、ずっとメモに視線を落としているのは逆に話を真摯に聞いていない印象を与えてしまうので、バランスが重要です。
まとめ
以上、クレーム対応について解説してきました。
クレーム対応が苦手でも、基本の心構えと話し方のコツを身につければ、大きな問題を避けられ、むしろ信頼を築くチャンスとなります。
今回紹介したポイントを押さえ、クレーム対応力をアップさせましょう。営業マンとしてのスキルアップにつながることでしょう。